グローバル化が飛躍的に進行した今日、世界は日増しに1つの運命共同体へとなりつつある。感染症の突然の来襲を受けて、人々は自国の事のみを考えて他国を顧みないでよい国はどこにもないことを強く感じるにいたった。共同体意識を強化してこそ、世界的範囲で感染症との戦いの最終勝利を勝ち取ることができる。(文:阮宗沢・中国国際問題研究院常務副院長。環球時報掲載)
ウイルスは国境も、人種や肌の色も、政治制度も区別しない、人類共通の敵だ。現在もなおウイルスのトレース作業は進行中であり、最終結論はまだ出ていない。それでもなお、他の国々と反対の行動に熱中し、他国を洪水のはけ口と見なし、さらには関係を断つことを鼓吹する者がいる。これは他の国々とは異なる孤立した行動であり、人道主義の精神に背くものだ。感染症を前に、国際社会に必要なのは科学と理性と協力であり、共同で偏見を阻止し、「政治ウイルス」に旗幟鮮明に反対することだ。世界保健機関(WHO)は「新型コロナウイルスは世界的現象だ。現在最も差し迫っているのは、いかにしてウイルスの拡散を抑え込むかであり、地域をスティグマタイズする言葉は避けるべきだ」と繰り返し表明している。
ウイルスの発生源がどこであれ、中国も感染の発生した他の国々も同様に、いずれも被害者であり、感染拡大の阻止という厳しい試練に直面している。WHOで公衆衛生上の緊急事態への対応を統括するマイケル・ライアン氏は「疾病は地球上のどの場所でも出現しうる」と指摘。各国に対して、非難の応酬をするのではなく、感染症と戦い、命を救うことに全力を挙げるよう呼びかけた。
中国は公開性と透明性そして責任ある姿勢で、WHOや国際社会と速やかに情報を共有し、感染防止・抑制の国際協力に実際の行動によって参加し、責任ある大国として引き受けるべきものを引き受けている。中国政府はWHOに2000万ドルを寄付した。これは途上国の感染対策能力の強化、公衆衛生システムの整備を支援する狙いがある。世界は日増しに利益共同体、責任共同体、生命共同体へとなりつつある。グローバル化という大きな流れは逆転できず、各国が利害共有者だ。
国際社会が共に努力したからこそ、2008年の世界金融危機、エボラ出血熱といった世界的な試練に有効に対処できたのであり、今回も例外ではない。感染力が極めて強いうえ、我々の知識が非常に少ない新たなウイルスを前に、人類の健康と生命の安全に関わる根本的問題において、対岸の火事と捉え、袖手傍観していては、感染拡大を阻止できず、自らの安全も保障できない。そして事実を歪曲し、井戸に落ちた者に石を投げ落とすような言動は、もう一つのウイルスに等しい。各国の人々の安危に関わる疾病に打ち勝つには、団結と協力が最も強力が武器だ。世界の公衆衛生上の試練に対しては、団結と協力こそが真のノアの方舟だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年3月23日