世界で新型コロナウイルスによる肺炎を取り巻く状況が厳しさを増す中、家から出られない人々は友だちに会いたいと心から願っている。そんな折り、任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」がゲーム産業で爆発的な人気になった。現在、実物パッケージ版は取引価格が60%近く値上がりし、すべてのオンラインショップで欠品状態になり、4月末にならなければ手に入らない。元々感染症のため価格が上昇を続けていたゲーム機「ニンテンドースイッチ」も、さらに入手が困難になった。中国新聞網が伝えた。
非常に好調な情勢の中、任天堂は2020年3月期の業績予想を上方修正した。関係責任者は、「20年3月31日現在、スイッチの販売予測をこれまでの1800万台から1950万台に引き上げた。関連のゲームソフトの販売予測も1億2500万本から1億4千万本に引き上げた」と話した。
それではスイッチの中国市場での見通しはどうか。メディアの報道によれば、任天堂の社長は決算説明会の質疑応答の中で、「現在、中国の大陸部に約300万人のスイッチユーザーがいる」と明かした。
これほどのブルーオーシャンを前にして、中国国内の上場企業ですでに事業展開を進めているところがある。19年12月、任天堂は騰訊(テンセント)と共同で中国版スイッチを発売すると発表し、希望小売価格は2099元(約3万2400円)だった。同時にゲームソフト「NEWスーパーマリオブラザーズUデラックス」を発売し、「今後数週間」で2種類のゲームが中国版スイッチで遊べるようになると発表した。テンセントも、任天堂をサポートして中国大陸エリアに適した専用ネットワークを構築し、微信支付(WeChatペイ)を中国国内の店舗での決済ツールとして提供し、オフラインの購入ルートとユーザー交流センターも設けると発表した。
しかし一部のヘビーユーザーは中国版スイッチを評価しない。ゲーマーの関さんは、「中国版スイッチはオンラインプレイができないし、DLC(ダウンロードコンテンツ)がダウンロードできなくて、楽しさが半減する。オンライン対戦のニーズがあり、重要な更新のタイミングを逃したくないユーザー、海外版ゲームソフトをダウンロードしたいユーザーにとって、中国版は今はよい選択肢ではない」と話した。
ライトユーザーにはこうした点を気にしない人もいる。簡さんは最近、中国版スイッチのユーザーになった。「自分にとって、ゲーム機のコミュニケーション機能はさほど重要でない。自分のゲーム機で遊べればそれで十分だし、中国版スイッチの現在の価格は海外版の半分ほどで、この点で非常に魅力的だった」と彼女は言う。
テンセント・任天堂協力部門の徐庚曽ゼネラルマネージャーは、「『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』といったゲームなどの現地化は非常に複雑だ。コンプライアンスを守ることを前提に、今後はより多くのスイッチのゲームソフトを打ち出していく」と述べた。広電総局が公式サイトで明らかにしたオンラインゲームの審査承認情報をみると、3月以降、「スーパーマリオ オデッセイ」や「マリオカート8 デラックス」、「霓虹深淵(NeonAbyss)」、「彩虹墜入(Iris.Fall)」のスイッチ版が承認を受けた。
ゲーム産業アナリストの梁声さんはメディアの取材に答える中で、「中国版スイッチのユーザーにとって最も魅力的なところは現地化の発想だ。当時の発表会で強調されたように、中国版はスイッチの名作ゲームの現地化設計を行い、より現地化されたオンラインサービスとアフターサービスをユーザーに提供するということで、これらはユーザーが極めて重視するポイントだ。しかしながら、現地化は後から付け加えられたオプションであり、ゲームを提供するプラットフォームとして、どうやって質の高いゲームコンテンツを増やし、ゲームの現地化サービスをしっかり提供するかということこそが、ユーザーの選択に影響するカギになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年4月9日