ロイター通信は28日、中国科学院武漢ウイルス研究所研究員で、武漢国家生物安全実験室室長の袁志明氏への単独取材を公開した。袁氏は取材に対し、「新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所で合成されたという説はまったく根拠がなく、その発生源についてはまだ定説がない」と指摘した。新華社が伝えた。
ロイター通信の報道によると、新型コロナウイルスの発生源が自然界であることは科学の共通認識であるものの、陰謀論という非難が注目を集めている。
袁氏は「武漢ウイルス研究所の実験室に関する『悪意』ある非難は『でっち上げ』で、現在のすべての証拠と矛盾している。武漢ウイルス研究所は新型コロナウイルスを設計・創出するつもりはなく、その能力もない。また新型コロナウイルスのゲノムには何ら人為的な手が加わった痕跡がない」と述べた。
ロイター通信の報道によると、インド工科大学の論文が陰謀論を助長している。同論文は、新型コロナウイルスのタンパク質がエイズウイルスのそれと似ているとしたが、論文は撤回された。多くの科学者は現在、新型コロナウイルスの発生源が野生動物であり、そのうちコウモリとセンザンコウが宿主の可能性が最も高いとしている。
袁氏は書面で、「新型感染症の7割以上が動物、特に野生動物を発生源とする。科学者は人に感染する既知の7種のコロナウイルスが、いずれもコウモリ、ネズミ、ペット由来であると考えている」と回答した。
袁氏はさらに、コウモリから採取したコロナウイルスが実験室から不慮の事態で漏洩したという陰謀論を否定し、実験室は生物安全手続きを厳しく行っていると述べた。「実験者と環境の安全を守るため、ハイレベル生物安全実験室には先進的な防護施設と厳格な措置がある」。袁氏は、武漢ウイルス研究所は情報の透明化に力を入れており、新型コロナ関連のすべての使用可能なデータを速やかに共有すると強調した。
袁氏は新型コロナウイルスの発生源について「まだ答えがない」と述べた。また英国とドイツの科学者が今月発表した論文によると、米国で感染が広がっている変異した新型コロナウイルスは中国のウイルスよりも「オリジナル」のバージョンであり、この変異が先に米国で生じた可能性があるとした。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年4月29日