今年の夏、中国の南方エリアは豪雨に見舞われ、川や湖の水位が急上昇し、多くの地域で氾濫が発生し、大規模な水害が生じている。環球時報が報じた。
今年の深刻な水害は、1998年の大洪水を思い起こさせる。あれから22年が過ぎ、中国は再び大洪水という試練に直面している。では、中国の現在の洪水対策能力は当時とどれほど違うのだろうか?十分な準備が既にできているのだろうか?こうした問題について、このほど、中国水利水電科学研究院減災センター洪水管理・影響評価研究部の李娜主任を取材した。
今年の長江流域の大洪水と1998年の大洪水にはどのような違いがあるのか?
李主任:両者には明らかな違いがある。1998年は、長江の全流域で大洪水が発生したのに対して、今年は現時点では地域的な洪水となっている。■陽湖(■は番におおざと)にしろ、長江主流にしろ、危険水位を超えているものの、いずれも一部の区間と局部的な地域に集中している。このように1998年と今年の洪水の影響範囲とその程度には違いがある。
20年以上が過ぎ、長江流域の洪水対策能力は向上しているのか?
李主任:大幅に向上している。1998年当時は、三峡ダム建設プロジェクトがまだ完成していなかったため、長江の堤防と主要支流の洪水対策能力は全体的に低かった。1998年の大洪水が生じた後、いくつかの大規模なプロジェクトが実施されたほか、一部の洪水発生時に一時的に水を貯留するための低地の整備が進められた。
その他、長江流域の洪水モニタリング、予報、洪水対策の共同調整などのカバー範囲、精度、リアルタイムのレベルなどが、約20年前と比べると大きく向上している。
現在の長江の水害対策能力であれば22年前の大洪水も防ぐことができただろうか?
李主任:もし、現在1998年当時と同じ規模の大洪水が生じた場合、長江主流の洪水防止システムに問題は全くなく、効果的に防ぐことができる。しかし、長江は東西に非常に長く伸びており、一部の支流や上流エリアの洪水対策能力は依然として低く、局部的に洪水が発生し、損害が生ずるといった局部的な状況全てを回避することは現時点では難しい。
現在の洪水対策のカギは?
李主任:まずは、山で起きる山津波を防ぐことだ。山地で突然起きる洪水の勢いや破壊力はすさまじく、できるだけ早く発見し、警報を発令することが非常に重要となる。中・小河川で警戒水位を超えた場合は、緊急時対応マニュアルに基づいて、災害救助や被災者の安全な場所への移送を展開しなければならない。大きな河川では、洪水監視と予報を基礎に、ダムや洪水発生時に一時的に水を貯留するための低地などの調整をしっかりと行わなければならない。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年7月17日