自民党の衆参両院議員及び地方代表による投票の結果、菅義偉氏が圧倒的優勢で自民党の新総裁に選出された。そして16日には日本の第99代内閣総理大臣に任命された。筆者の見るところ、新首相となった菅氏の外交は安倍政権の積極的平和主義外交を覆すものにはならず、安倍政権の「地球儀を俯瞰する外交」の直接の焼き直しにもならない。菅氏は安倍氏が描いた輪郭を踏まえた上で、自らの特色を加えるだろう。従って今後の中日関係の扱いにおいては、以下のキーワードが際立つだろう。(文:笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長。環球時報掲載)
(1)安定優先。非常時に就任する首相である菅氏にとって、「安定」が非常に必要であることは間違いない。従って、安倍氏の近隣外交及び大国外交の長所を最大限継承し、その積み重ねてきた対中外交のプラスの遺産を広げるとともに、古きを退けて新機軸を打ち出すことが、対中関係の扱いにおける基本的考えとなるはずだ。菅氏は最近も、中韓などアジア各国と意思を疎通することの必要性や戦略的意義を強調した。近隣国はこれに期待を抱いている。
(2)実務的に道を切り開く。対中関係の扱いにおいては、率直に外交等の分野における日本の国益を維持すると同時に、時勢をよく推し量って柔軟性を失わずに改善基調を維持する必要もある。菅氏の対中外交が安倍氏同様の二面性を継承するであろうことが、これによって決定づけられる。選挙期間中に菅氏が示した中国へのいくつかの懸念が、この二面的心理の具体的な表れだ。
(3)特色を打ち出す。戦後、中日関係は紆余曲折を経ながら前進してきた。今日にまで至るのは容易なことではなかった。とりわけ2012年前後には釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題のために両国関係は冷え込み、政府間の関係、企業間の協力、民間交流も大きな影響を受けた。2018年の安倍首相による訪中以降、両国関係は緩和に転じ、急速に発展してきた。この雰囲気は現在も続いている。実際的な取り組みを望む内閣として、これを菅外交の最大の特色ある看板、潜在的な優位資源にしようと望むのは自然なことだ。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、域外要因の影響を受けて中日間にいくつか意見の相違や摩擦が生じた。だがこれらは過去にも多かれ少なかれあったことであり、両国関係のすり合わせの過程における小さなエピソードに過ぎない。これについては、菅氏が新たな希望を切り開き、特色ある対中外交を築くことで後押しされる中、両国の識者の英知によって解消することが十分にできると信じる。中国も「向き合って進む」という理念を揺るぎなく受け継ぎ、ポスト安倍時代の中日友好の維持者、推進者、建設者となるべく尽力する。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年9月16日