浙江大学医学院附属第一病院が16日に明らかにしたところによると、同病院感染症診療国家重点実験室の李蘭娟院士のチームが清華大学生命学院の李賽研究員のチームと協力し、世界で初めて新型コロナウイルスの全ウイルス3次元微細構造を解析し、かつてない解像度に達した。これは新型コロナウイルスの生物的特性、ワクチン設計、抗ウイルス薬の開発などに対して重要な意義を持つ。科技日報が伝えた。
コロナウイルスは太陽のコロナのように見えることから名づけられた。これらの冠状物質はスパイクタンパクと呼ばれる一種の糖タンパク質で、ウイルスが人体の細胞に入るための「鍵」だ。今回の研究は直接ウイルスの科学研究活動を展開し、新型コロナウイルス表面のスパイクタンパクの天然構造と分布を原位置で解析した。
科学研究者は、このスパイクタンパクが「振り子」のようにウイルスの表面で自由に揺れ動くことを発見した。「上側が太く、下側が細い」という特性により、ウイルスは柔軟に細胞の表面を「キャッチ」し、それと結合し細胞内に入り、人体に感染する。また科学研究者は、このスパイクタンパクの向きに巧妙な仕掛けが隠されていることを発見した。スパイクタンパクを傘に例えるならば、傘が開いた状態は「上向き」と呼ばれ、武器を出して細胞に感染する状態だ。傘が閉じた状態は「下向き」と呼ばれ、有機体に発見・撃退されないよう武器を収めた状態だ。新型コロナウイルスのスパイクタンパクの97%が下向きで、これは抗体や薬品などに撃退されにくい理由の一つだ。
さらに科学研究チームはウイルス内のリボ核タンパク質の天然構造及びその組立メカニズムを明らかにした。これらの複合体は数珠のようにリボ核酸を一つに組み合わせ、ウイルスの体内で秩序正しく配列する。限りある空間内に自身の容量を上回るリボ核酸を収納するという難題を解消しただけでなく、ウイルスそのものの構造を強化し、人体の外の複雑な環境における各種理化学的要素による破壊に耐えられるようになっている。これは新型コロナウイルスが長期的に外の環境で生存できる重要な要素と説明できる。
現在すでに開発中の遺伝子組換えワクチンはいずれも、体外組換え発現のスパイクタンパクの研究成果に基づくものだが、これとウイルスの原位置の状態の間に差はあるだろうか。開発済みのワクチンはウイルスに効果があるだろうか。科学研究チームはさらにスパイクタンパクのグリコシル化組成を質量分析し、体外組換え発現のスパイクタンパクとウイルスの原位置の状態のスパイクタンパクのグリコシル化の修飾に高度の相似性があることを発見した。これは不活化ワクチン、遺伝子組換えワクチン、中和抗体の研究開発に対して重要な指導的意義を持つ。同研究成果はすでに国際的に権威ある学術誌「セル」に掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年9月18日