「鵝首曲頚青銅壺」(画像提供・三門峡市文化財考古研究所)。
非常に珍しい「鵝首曲頚青銅壺」と名付けられたハクチョウの首の形の青銅製の壺が今年5月、河南省三門峡市で発見され、大いに話題となった。優美なデザインのハウチョウの壺に、人々は大いに魅了されると同時に、壺に入っていた重さ3キログラムほどの液体の正体をめぐり関心が集まっていた。そしてこのほど、この液体の正体が酒であることが明らかになった。新華社が伝えた。
三門峡市文化財考古研究所によると、中国科学院大学の研究者がサンプルを採取して調べたところ、「鵝首曲頚青銅壺」に入っていた液体は、前漢(西漢)早期に造られた古酒であることが判明した。また、湖南省長沙市にある馬王堆漢墓で出土した医方書「五十二病方」に記載されている内容とほぼ一致しており、この古酒は止血・消炎作用を備えた薬用酒だという。
中国科学院大学考古学・人類学部の楊益民・教授は、「我々は、より多くの原料、制作技術、効用関連情報を知るために、この液体に対して、炭素・窒素安定同位対比、植物化石、プロテオーム解析などの分析を行った」と話した。
「鵝首曲頚青銅壺」は、三門峡市後川村古墳群から出土。考古学者の実測から、この古墳群は、前漢初期のものであり、墓に埋葬されていたのは身長1.8メートルほどの男性であることが判明した。この男性の墓からは、銅器、玉細工、陶器、鉄器なども共に出土した。このうち銅器は、青銅鏡、銅印、銅盆、銅製装飾品などがあり、鉄剣は、4つの玉で飾られた玉剣具だった。三門峡市文化財考古研究所の鄭立超・所長は、「宝剣が埋葬されていたということは、この男性が戦闘職種だったことを示し、青銅鏡や銅製装飾品が共に埋葬されていたことから、この男性が身だしなみに気を配るタイプであったこと、さらには、『鵝首曲頚青銅壺』に酒が入っていたことから、生活の質を追求するタイプだったに違いないことが見て取れる」と説明した。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年9月18日