ウイルスは、侵入した健康な細胞の生命システムを乗っ取り利用することで、繁殖と拡散が可能になる。中国科学技術大学の趙忠教授のチームはこのほど、「分裂組織ウイルスフリー」から着想を得て、8年の科学研究によりウイルスが植物細胞を乗っ取れなくする重要タンパク質「WUSCHEL(WUS)」を発見した。さらに植物幹細胞の広域スペクトル抗ウイルスメカニズムを解明し、農作物の抗ウイルス、さらには世界の食糧安定生産などの問題を解消する新たな道筋を示した。国際的に権威ある学術誌「サイエンス」が9日、同成果を発表した。新華社が伝えた。
「非常にシンプルな生命体であるウイルスは、健康な細胞に侵入すると、タンパク質合成や各種エネルギー物質を含む細胞内の生命システムを乗っ取り、それを自分のものにしなければならない」。趙氏によると、同研究によりWUSが植物幹細胞のタンパク質合成システムを抑制し、侵入したウイルスがタンパク質を合成できなくすることで、繁殖と拡散を防げることが分かった。
彼らはさらなる研究により、WUSがその他の細胞のウイルス抵抗の「有効な武器」になり、さらに複数種類のウイルスの感染を抑制できることを発見した。広いスペクトルがあり、複数種類の植物の病害に対して効果的だ。
サイエンスの審査員は「同研究は長期的に存在し注目されていた問題を解消する、植物の病理や発育分野の先駆的な研究だ」と評価した。
研究チームは同成果の育種への応用を計画している。タンパク質人工進化技術に基づき高耐病性タンパク質をスクリーニングし、広域スペクトル・高耐病性の農作物新品種を作成する。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年10月13日