先週末、天津市や上海市、内蒙古(内モンゴル)自治区などで、相次いで新型コロナウイルスの国内症例が確認され、多くの人が緊張感を高めている。複数の権威ある専門家は、「いくつかの地域で新規感染者が散発しているからといって、パニックになる必要はない」としながらも、「冬が到来し、新型コロナウイルスがコールドチェーンを介して伝播する環境が整っている。海外から、人を介した新型コロナ流入を何としても阻止すると同時に、モノを介した流入も阻止しなければならない」と強調している。環球時報が報じた。
中国3地域で国内症例を確認
上海市衛生健康委員会は20日に、新規の国内症例2人を確認したと発表。直ちに濃厚接触者のスクリーニングを展開した。そして、22日、スクリーニングにおいて、感染が疑われる人をさらに2人確認し、検査の結果いずれも「陽性」が確認された。
内モンゴル衛生健康委員会によると、21日7時から16時にかけて、同地で新たな国内症例2人が確認された。いずれも呼倫貝爾(フルンボイル)満洲里市で確認された。その後、22日14時から3日かけて、同市内の全ての住民と企業の従業員を対象に大規模なPCR検査が展開されている。
天津市の浜海新区東疆港区の団地・瞰海軒小区では、新規の国内症例5人、無症状感染者3人が確認された後、浜海新区は21日午前から区民全員を対象にしたPCR検査を実施した。
新型コロナ感染散発が「ニューノーマル」に
シンガポール紙「聯合早報」の22日付けの報道によると、上海市新型肺炎医療救助専門家グループ長を務める張文宏教授は、「パンデミックが起こっているのを背景に、今後、新規感染者が散発したり、輸入症例、物流と関係のある感染者が発生したりしないと保証することはできない」とし、「そのようなニューノーマルに適応しなければならず、パニックになる必要はない。中国は既に、新規感染者の散発などに落ち着いて対応することができるようになっている。単発的に感染者や二次感染が、どこで発生したとしても、パニックになる必要はない」と冷静な対応を呼び掛けている。
中国疾病予防管理センターの疫学首席専門家・呉尊友氏は21日の取材に対して、「最近、中国の複数の地域で新規の国内症例が確認されているが、中国で再び感染が爆発的に拡大することはない。散発的に新規感染者が確認される可能性はあるが、大規模に流行することはない」との見方を示した。
人とモノを介した流入阻止が重要な局面に
最近、いくつかの地域で発生した感染のほとんどは、コールドチェーンや物流と関係がある。
武漢大学医学部ウイルス所の楊占秋教授は22日、「今の季節はウイルス伝播にとって好条件が整っている」と指摘する。また、中国北方エリアの省の最低気温は最近、氷点下になっており、一般貨物輸送も、コールドチェーンと同じ状態になっている。そのため、新型コロナ防止対策が特に重要になってくる」とした。
中国工程院の張伯礼院士も、「寒くなる冬季は、新型コロナウイルスのモノの表面での生存時間が長くなる。そのため、人だけでなく、モノを介した新型コロナも、絶対に阻止しなければならない」と指摘する。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月24日