【ハンブルク(ドイツ)安間徹】サッカーのドイツ1部リーグで、日本代表FW高原直泰の所属するハンブルガーSVの快進撃が続いている。20日のデュイスブルク戦に2-0で勝ち、13試合を終えて8勝4分け1敗の勝ち点28で3位につけている。高原はベンチ入りしたが、出番はなかった。
ハンブルガーの原動力となっているのは、アヤックスから移籍したオランダ代表MFファンデルファールトだ。
22歳の司令塔は試合後の乱闘騒ぎで3試合のリーグ戦出場停止処分を受けていたため、この日が復帰戦。試合終了直前、フランス代表MFジダンが得意とするターンも交えて3人のDFを一気に抜き去り、場内を沸かせた。ゴール前へのラストパスも見事で、FWバルバレスが直接押し込んでいれば、アシストがついていた。ここまでチームトップの6得点と、FW顔負けの得点感覚も誇っている。
今年6月、古豪とはいえ昨季リーグ8位でしかないドイツ中堅クラブと5年契約を結んだ時、オランダ国内では否定的な意見が強かった。だが、それはオランダの人気女優と交際、結婚したことで脅かされた私生活を守るためだった。意に沿わぬ「オランダ版ベッカム」的な扱われ方がプレーにも影響し、昨季はスランプに陥っていた。それだけに本人は「環境を変えるべき時だった」と言う。
背番号は代名詞となっていた「10」ではなく、「幸運を運んでくれる」としてアヤックス入団時の「23」を選んだ。早熟の天才で終わるつもりはない。初心に戻った司令塔は、オランダ代表でも再び輝き始めている。