【ベルリン斎藤義彦】98年のフランス大会で、ドイツのフーリガンに襲われ、一時、重体になったフランス人警官が、14日のドイツ・ポーランド戦に招かれる。ドイツサッカー協会が警官と家族を招待したもので、罪ほろぼしと和解の意味が込められている。
招待されるのは、ダニエル・ニビルさん(51)。ニビルさんは98年6月、ランスで行われたドイツ・ポーランド戦の警戒中、5人組に襲われ、鉄の棒で頭を殴られた。約6週間、意識不明状態に。奇跡的に回復したが、現在も障害が残っているという。
独サッカー協会と国際サッカー連盟などは00年、罪滅ぼしの意味で、フーリガン対策の研究などを行う「ダニエル・ニビル財団」をスイスに設立。また、暴力のないサッカーを訴えるための大会「ダニエル・ニビル杯」も設置した。
同協会は昨年、和解のために、ニビルさんと妻、2人の息子をW杯ドイツ大会に招待することを決め、ニビルさんも快諾したという。
W杯ドイツ組織委や独内務省は、ニビルさんの事件を教訓に、フーリガン対策に力を入れている。今大会では大きな暴力事件は発生していない。
毎日新聞 2006年6月14日 10時53分