パロマ工業(名古屋市)の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故に絡み、経済産業省の発表分とは別に90年に帯広市で亡くなったことが分かった吉田ひとみさん(当時20歳)の遺族が17日、毎日新聞の取材に応じ、「(事故前の87年には不正改造による)不具合があるのを知っていたのに、何もしないなんて」とパロマへの怒りをあらわにした。一方、パロマは今後、さらに被害件数が増える可能性を認めた。
吉田さんの父茂夫さん(68)=十勝管内浦幌町=によると、吉田さんは十勝管内の高校を卒業後、帯広市内の菓子メーカーに就職。事故直前、同じアパートの隣の部屋から移ったばかりだった。
事故後、母ヨシさんは心労で体を崩し、92年に死亡。茂夫さんは「忘れようと思っていたところに今回の問題が起きた。今さら何を言ってもどうにもならない」と憤る。パロマなどを相手に起こした損害賠償請求訴訟も1審で和解したという。
パロマの浦敏正総務部次長は「帯広の件は、裁判で当社の器具の欠陥は認められなかったので、発表の数に加えていなかった。確認を進めているが、今後件数はさらに増えるだろう」と話した。【仲田力行】
毎日新聞 2006年7月18日