米国:イランが期限内に濃縮停止応じねば制裁決議迅速に
【ワシントン笠原敏彦】米政府は30日、イランが国連安保理の制裁警告決議が定めた31日までのウラン濃縮活動停止に応じない場合、「経済制裁決議」の採択に向けた協議を迅速に開始する必要がある、との姿勢を示した。米国は、イランに核問題解決への「包括見返り案」を示した安保理常任理事国(米英仏露中)と独の6カ国による政府高官協議を来週初めにも欧州で開き、制裁論議を本格化させたい意向だ。
マコーマック国務省報道官は30日の定例会見で、「イランに安保理の要求に応じる兆候はない。応じない場合、関係国が迅速に制裁決議の協議を始めることを期待する」と語り、来週初めに6カ国の政府高官協議を開く方向で各国と調整していることを明かした。
イランがウラン濃縮停止には応じないが交渉には積極的な姿勢を見せ、中露や欧州諸国も交渉開始に傾く中で、マコーマック報道官は「イランに要求されているのはウラン濃縮の停止だ。我々は交渉のための交渉は始めない」と述べた。
また、同報道官は「我々のアプローチは徐々に圧力を強化し、イラン政府に姿勢転換を迫ることだ」と指摘し、米国が目指す段階的な制裁強化の方針を説明した。米国は制裁第1弾として、イラン政府指導者らの渡航禁止や資産凍結などの措置を想定している模様だ。国連制裁とともに、「有志連合」による金融制裁の準備も進める姿勢を改めて示した。
毎日新聞 2006年8月31日