サッカーの２２歳以下（Ｕ２２）日本代表は２１日夜、熊本県民総合運動公園陸上競技場でＵ２２米国代表と強化試合を行い、０－０で引き分けた。１万４００７人の観衆が見守る中、３－４－３の布陣で臨んだ日本はチャンスは作りながらも、決め切れなかった。昨年夏に反町監督が就任して以来の通算成績は４勝３分け１敗となった。

　２８日には北京五輪アジア２次予選第１戦の香港戦（東京・国立競技場）が控えている。チームは２２日も熊本県内でＪ２札幌と練習試合を行ったうえで、登録メンバーの絞り込みを行う。

　【戦評】

　△Ｕ２２日本０－０Ｕ２２米国△

　前半から日本が試合を支配したが、決定力不足に泣いた。前半９分、梶山のスルーパスを受け平山がＧＫと１対１となったが、好セーブに阻まれた。後半１８分には左ＦＫに平山が頭で合わせたがバーをたたき、同３９分の水野のシュートも左ポスト直撃。守備は安定していたものの、詰めを欠いた攻撃に課題を残した。

　▽Ｕ２２日本代表・反町監督　当然勝ちたかったが、米国は強いので最後のところを崩せなかった。（何度か決定機があったとの問いに）そこまでは行くんだけど、最後の一本でしょう。守備の練習はしていなかったので、サイドで数的優位を作られて後手に回っている場面もあった。課題が残った。

　▽日本・平山　ビッグチャンスが何回かあったが、決められなかった。もう少したたきつけておけば。最後のフィニッシュの精度とサイド攻撃を多くできれば。（五輪予選は）絶対に勝ちたい。

　◇また「決定力不足」…日本、課題は山積

　欲求不満が溜まるスコアレスドローだった。

　前半、主導権を握ったのは日本だった。最終ラインから相手の動きを見極めながらボールを前線につなぐ。反町監督がポイントに挙げていた「ビルドアップ」で何度も好機をつかんだ。だが、問題はそこからだった。

　前半８分、梶山の縦へのスルーパスに反応した平山が相手の最終ラインを突破したが、フェイントを入れず、シュートは相手ＧＫに弾かれた。後半１８分には、本田圭のＦＫに平山が頭で合わせたが、ボールはクロスバーをたたいた。同３９分、ドリブルで切り込んだ水野シュートはポストを直撃。形は作りながらも、最後の最後でボールはゴールに嫌われ続けた。

　試合前日の記者会見で、反町監督はゴール前でのプレーの質を高めることの重要性を説いた。「サイド攻撃はできている。あとはいかにゴール前５メートルから１０メートルのエリアでの質を上げるか。うまくいけば（相手に）嫌がられるチームになると思う」。反町監督就任後、唯一の敗戦となった昨年１２月のアジア大会２次リーグの北朝鮮戦。同じ課題を持って試合に臨んだが、終盤守りに入った相手を攻めあぐね、決勝トーナメント進出を逃した。「トライしたが、うまくいかなかった」と反町監督。それだけに、合宿では攻撃に焦点を当てた練習を積んできたはずだった。

　だが、欧州組を欠き、決してベストメンバーとは言えない米国のＤＦを突き破ることはできなかった。北京五輪への切符をつかむために克服しておかなければならない「決定力不足」という課題は、まだ積み残しのままだ。【平本泰章】

　○…日本国籍を取得するや否や、追加招集されたＦＷ李。いきなりの先発起用に、反町監督の期待の高さがうかがわれた。だが得点に絡むことはできず、後半２７分で途中交代。ほろ苦いデビュー戦となった。

　「ポストもランもできる」（反町監督）という万能型のＦＷ。くさび役に、シャドーにと前線を駆け回った。前線からスライディングでボールを奪いに行くなど闘志あふれる場面も。能力の一端は十分に示した。

　○…Ｕ２２米国の中盤に入るクリスタンは、米国のＡ代表候補合宿にも召集されている。ブラッドリー監督が「才能があり、リーダーとしての素質もある」とほれ込むそのクリスタンに、日本は前半４２分、最終ラインの裏をとられてヒヤリとさせられたが、青山直が必死に戻り、体を投げ出すようにしてシュートを辛うじて防いだ。五輪予選ではわずかなミスが命取りになりかねないだけに、より高い集中力が求められる。

　◇北京五輪予選　開催国の中国を除いてアジアの出場枠は３。２次予選はＡ～Ｆの６組（日本はＢ組）に分かれ、各組上位２チームが最終予選に進出。最終予選は１２チームを３組に分け、各１位のみが五輪出場権を獲得する。

　★青山敏が欠場　２２歳以下（Ｕ２２）日本代表のＭＦ青山敏弘（２０）＝広島＝が、発熱のため２１日のＵ２２米国代表戦を欠場した。

毎日新聞　2007年2月21日　21時36分　（最終更新時間　2月22日　0時03分）