首都圏などで局所的に放射線量が高い、いわゆる“ホットスポット”が相次いで発覚しています。神奈川県小田原市では小学校の腐葉土から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたことがわかりました。
小田原市によりますと、学校に農園がある市内の小学校の腐葉土を調べたところ、2つの小学校で国の暫定規制値を超える1キロあたり700ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
腐葉土は児童が落ち葉を集め学校で作ったものですが、国から通知のあった8月以降は、使用していないということです。しかし、このうち1校では、通知前に、屋外で保管していたおととしの腐葉土を使って育てた野菜について、学校で調理した上で児童や保護者ら65人が食べていたということです。
一方、東京・東村山市では市内の22の小中学校を調べたところ、1つの小学校の側溝にたまった汚泥の表面で、1時間あたり2.153マイクロシーベルトの放射線量が計測されたと発表しました。東村山市は、すでに汚泥を除去し、放射線量は低下したということですが、今回の結果を受け、新たに保育園や幼稚園でも調査を開始しました。
一方、福島第一原発からおよそ210キロの東京・荒川区。署名活動を行っているのは、市民団体の代表を務める筑本さんです。
「荒川区が全く放射線を測定してくれないので、何とか測っていただけるように署名を集めています」(荒川区の子どもの未来を考える会 筑本知子 代表)
原発事故以降、自治体が独自に学校や公園などの放射線量を測定する動きが広がっていますが、東京23区内では唯一、荒川区だけが“独自では放射線量の測定を行わない”という方針を出しています。
「町の中とかも測っていないのはこの区だけ。区民を守るのはどこなのか。個人だけでは対策しきれない」(荒川区の子どもの未来を考える会 筑本知子 代表)
最近、都内でも相次いで局所的に高い放射線量が測定されています。大田区の中学校が今月初めに行った調査では、花壇そばにある雨どい脇の地表5センチの高さから、1時間あたり1.01マイクロシーベルトの放射線量が測定されました。また、今月17日には足立区内の小学校でも1時間あたり3.99マイクロシーベルトの高い放射線量が測定されています。これらはすべて、自治体が独自で測定したものです。
一方、荒川区内の測定は、今年6月に東京都が実施した一斉測定による区内1か所と、首都大学東京の独自測定による区内6か所の計7か所のみ。区はこれらの調査結果から安全なレベルと判断し、以降、測定は行っていないといいます。しかし・・・
「荒川区内の小学校の話によると、敷地内の汚泥から1時間あたり0.97マイクロシーベルトの放射線量が測定されたということです」(記者)
その後、その小学校では、独自に校庭の土を除去するなどの除染作業を行ったといいます。
「ちょっと高めですね・・・。0.4マイクロシーベルト/時くらい」(荒川区の子どもの未来を考える会 筑本知子 代表)
筑本さんらの市民団体は、これまでにおよそ4000人分の署名を荒川区長に提出するなど、再三にわたり、区の独自測定実施を働きかけてきたといいますが・・・
「区は『安全だ』という。対応する気はないという態度が見える。荒川区は『幸福実感都市』というスローガンがあるんですけど、今は幸福を実感できていない」(荒川区の子どもの未来を考える会 筑本知子 代表)
根拠のない安全宣言は逆に不安だといいます。このような声があるにもかかわらず、荒川区はなぜ独自に測定を行わないのでしょうか。
「放射線量の測定については、専門的な機関が行うことが望ましい。国や都などの専門機関が統一の基準値と対応方針を作るべき」(荒川区環境課)
荒川区は、独自に測定を行う予定は今後もないといいます。(19日19:52) |