【ワシントン=吉野直也】米国の次期国防長官に指名されたカーター前国防副長官は4日、ウクライナ東部で攻勢を強める親ロシア派に対抗するためウクライナ政府軍への武器支援を前向きに検討していると表明した。オバマ政権の高官で武器支援を明言したのは初めて。慎重なホワイトハウスとの調整が加速する見通しだ。
カーター氏の人事を承認するかどうかを決める米上院軍事委員会の公聴会で証言した。カーター氏は「ウクライナ政府軍に武器支援する方向に傾いている」と語った。防弾チョッキなど非殺傷装備に限定していた従来の政策からの転換を意味する。
ローズ米大統領副補佐官は「武器を多く与えればよいという単純なものではない」と述べており、カーター氏は正式就任後に早速、ホワイトハウスと話し合う。武器支援を巡っては本格的な戦闘につながりかねないとの懸念や、ロシア側に攻撃の口実を与えかねないとの不安がある。
カーター氏は中東の過激派「イスラム国」の掃討に向けて「軍高官や米議会のメンバーと緊密に協議し、大統領に助言する」と語り、柔軟に戦略を見直す考えを示唆した。アジア重視の戦略を続ける方針を明らかにするとともに「中国の軍事力増強の動きを注視しなければならない」と強調した。