オウム真理教元信者、高橋克也被告(56)の裁判員裁判の第16回公判が13日、東京地裁(中里智美裁判長)であり、地下鉄サリン事件の審理が始まった。13人が死亡し、6千人以上が負傷した同事件が裁判員裁判で審理されるのは初めて。
殺人の共謀があったとする検察側に対して、弁護側は無罪を主張しており、3月上旬まで元信者らの証人尋問が予定されている。
高橋被告は地下鉄サリン事件で、元教団代表、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、59)らと共謀し、散布役だった豊田亨死刑囚(47)を送迎した運転手役を務めたとして起訴された。豊田死刑囚は中目黒駅から霞ケ関駅に向かう地下鉄日比谷線に乗って車両内でサリンを散布。神谷町駅付近で乗客1人が死亡した。
高橋被告は1月16日の初公判で「まかれたものがサリンとは知らなかった」と起訴内容を否認。弁護側も「指示通り豊田死刑囚を中目黒駅まで運んだだけ」と無罪を主張している。
公判では、事件に関与した元幹部の死刑囚や元信者らの証人尋問が行われ、高橋被告が果たした役割や当時の認識などが焦点となる。同事件で霞ケ関駅助役だった夫の一正さん(当時50)を亡くした高橋シズヱさん(67)らが被害者として参加し、検察官席の後ろから審理に加わる。
同事件では松本死刑囚ら10人の死刑と4人の無期懲役が確定している。