【ブリュッセル=御調昌邦】デンマークの首都コペンハーゲンで起きた連続銃撃事件で、警察当局は射殺した容疑者をデンマーク生まれの22歳の男と特定、16日には事件に関わった疑いで2人の男を拘束したと発表した。欧州連合(EU)は首脳会議でテロ対策強化を申し合わせたばかり。過激思想に感化された「自国育ち」の若者によるテロの防止の難しさがまたも浮き彫りになった。
2人が死亡、5人が負傷した事件ではイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を描いた画家やユダヤ教施設が標的になった。警察当局は容疑者の氏名を公表していないが、現地メディアは2013年に刺傷事件を起こし、約2週間前に出所した「オマル・フセイン」と伝えた。
当局は「1月にパリで発生した連続テロに触発された可能性が高い」と説明。現地メディアは男が服役中に過激思想に傾いたため、刑務所を管理する機関が治安当局に要注意人物として通知していたと報じた。
地元紙エクストラ・ブラデット(電子版)によると、男はパレスチナ系で、ユダヤ人に激しい憎しみを持っていたという。最初の銃撃事件の約45分前には「オマル・フセイン」名のフェイスブックにイスラム過激派の「聖戦」関連の動画が掲示されたとしている。
容疑者を手助けした疑いで拘束された2人との関係は不明だ。デンマークのトーニングシュミット首相は16日の記者会見で「現段階で男が(テロリストなどの)組織の一員であることを示す情報はない」と語った。
同国当局はパリの連続テロ以降、警戒を強化。EUは12日の非公式首脳会議で、国境警備の強化や捜査当局間の協力などを打ち出していた。