大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民の遺族が原告になったアスベスト(石綿)訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は19日までに、原告とクボタ双方の上告を退ける決定をした。クボタに約3190万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
石綿被害をめぐり、工場周辺住民への企業責任を認めた司法判断を最高裁が支持したのは初めて。決定は17日付で、5人の裁判官全員一致の結論。
この訴訟は、1975年までの約20年間、工場から約200メートル離れた別の会社で働いていた山内孝次郎さん(死亡当時80)と、60~95年に約1キロ離れた地域に住んでいた保井綾子さん(同85)の遺族が原告になり、企業と国に賠償を求めていた。2人はいずれも亡くなる前に中皮腫と診断されていた。〔共同〕