【フランクフルト=加藤貴行】スペイン電力最大手のイベルドローラは26日、米同業のUILホールディングスを買収することで合意したと発表した。買収総額は約30億ドル(約3570億円)。イベルドローラはUILを米子会社と統合し、今後5年間で米国に69億ドルを投じ事業の拡大に動く。欧州の電力・ガス大手は域内事業の収益が伸び悩み、米国など域外企業の買収に動いている。
イベルドローラは米子会社とUILを統合する新会社を上場させる予定で、UILの既存株主には新会社の株式との交換と現金支払いを組み合わせる。買収後の地域別の利益貢献度はユーロ圏が45%、米国が26%、英国が24%と地域分散が進む。
スペインは欧州債務危機などの影響でエネルギー需要が低迷し、電力・ガス会社の収益環境は厳しい。昨年にはスペイン同業のガスナトゥラル・フェノーサがチリの電力大手を買収した。他の欧州の大手でも、フランス電力公社(EDF)が米国、独エーオンがブラジル、トルコなどで事業を手がけている。