選挙権年齢が2016年夏の参院選から「18歳以上」に引き下げられることが確実になった。投票率が高い高齢層の意向が政策決定に反映されやすい「シルバー民主主義」の是正につながるとの期待がある一方、若年層の低投票率は深刻だ。選挙権年齢の引き下げを若年層の政治参加にどうつなげていくか、各党の取り組みが課題となりそうだ。

改正法案が成立すれば、公布から１年後の施行以降の国政選挙や、その後の地方選挙に適用される。最高裁判所裁判官の国民審査などの投票年齢も引き下げられる。18、19歳の未成年が買収など連座制の適用となる重大な選挙違反を犯した場合、成人と同様に刑事処分の対象となる。一方、有権者から選ばれる裁判員については20歳になるまで見送ることとした。

少子高齢化の進展により、社会保障費は年々膨らんでいる。若者の将来に重い負担を強いる一方、行政政策の多くが高齢者対策に重点を置いてきた点も否めない。このため日本の将来の方向性を決める上で、若い世代に積極的な政治参加を促す狙いもある。

若年層の政治への関心の低さも課題となる。総務省によると、14年12月の衆院選の20～24歳の投票率は29.72％で全世代を通じて初めて３割を切ったが、60歳代、70歳代は約７割と高水準だ。選挙権年齢の引き下げで若年層の政治参加の機会は拡大するが、18、19歳は昨年の衆院選時点の有権者数でみると約２％にすぎない。実際に投票率が向上するかは未知数だ。

このため各党は若年層への働きかけを本格化する見通しだ。自民党憲法改正推進本部の船田元本部長は同法案の提出後、記者団に「『高校で公民や政治参加の教育を充実してほしい』と文部科学省にお願いしている」と語った。党員資格も18歳以上に引き下げており「若い人に入ってもらいたい。党組織運動本部と連携してキャンペーンをやっていく」と強調した。

民主党は若年層の投票率を高めるため、岡田克也代表が大学や高校を積極的に訪問する方針だ。維新の党の江田憲司代表は５日の記者会見で「若者といろんなチャネルを通じて意見交換していきたい。ＮＰＯなどとの連携も図っていく」と語った。党内に学生をトップに据えた「学生部」を設置する考えも明らかにした。