ドイツのメルケル首相が9日、7年ぶりに来日した。昼に東京都内で講演し、欧州連合(EU)と日本の経済連携協定(EPA)について「早期に妥結しなければならない」と強調した。仏週刊紙の襲撃事件や過激派「イスラム国」による日本人の人質事件を踏まえ、テロに対して「日本とドイツは手を携え立ち上がる」とも表明した。
講演するドイツのメルケル首相(9日午前、東京都中央区)=代表撮影
メルケル氏は9日午前、東京都江東区の日本科学未来館を訪れ、館長を務める毛利衛さんの案内でホンダの二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」を見学した。午後には安倍晋三首相との首脳会談に臨む。
講演とその後の質疑応答では日中関係について「偏見や誤解から危機が生まれることを予防しないといけない」と訴えた。日中両国に助言する立場ではないと前置きしたうえで「(第2次大戦後に和解した独仏のように)平和的な解決を見いだそうとする試みが重要だ」と指摘した。
6月にドイツで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の議長国として重要な課題に地球温暖化対策を挙げ、「大きな拘束力のある目標で合意できるようG7各国が主導権を発揮し、途上国を支援していく必要がある」と語った。
国連改革にも言及し「世界の平和と安定のためにはすべての地域が重要な決定に参画しなければならない」と主張。日本やインド、ブラジルと協力しながら安全保障理事会の強化に尽力する考えを明らかにした。