【米州総局】米中西部ミズーリ州ファーガソンで12日未明、警察署の近くで人種差別に抗議するデモ隊の警備にあたっていた警官2人が何者かに銃撃された。ロイター通信などによると、2人は意識があり、地元の病院で手当てを受けているという。ファーガソンでは11日に市警本部長が辞表を提出したばかりだった。
地元のメディアなどによると、警察の関係者は記者団に対して銃撃された警察官は2人で、そのうち1人は肩を、もう1人は顔をそれぞれ撃たれたことを明らかにした。警察は犯人の行方を追うとともに、事件の詳しい状況を調べている。
ファーガソンでの一連の抗議活動のきっかけは、昨年8月に起きた白人警官が丸腰の黒人青年を射殺した事件だ。11月に白人警官の不起訴が決まると、黒人差別に対する抗議活動が全米で激しくなった。今回の警官の銃撃事件をきっかけに、米国内で再び混乱が広がるとの懸念も出ている。
事件が起きた現地ではデモ隊に対応するため周辺の地域の警察署からも警官が集められ、建物の警備などにあたっていた。目撃者の一人は「銃声は4~5回聞こえた」と話している。一時、騒然とした雰囲気に包まれた。
ファーガソン市警を巡っては米司法省が先週、黒人を差別する捜査が組織的に定着していたとする報告書を発表した。これを受けて、11日にはこれまで辞任を拒み続けていたトーマス・ジャクソン市警本部長が辞表を提出した。
司法省の調査では、市警内で人種差別的なメールのやりとりがあったことなども判明している。市民の間では、体質の改善にはトップの交代だけでは不十分だとする不満も出ているという。
銃撃事件が起きたのはジャクソン本部長の辞意表明の数時間後だった。その際、警察署の前に数十人が集まり、抗議デモに発展していた。「デモ隊の後方にある丘から発砲された」との目撃者の話も伝えられている。