【マニラ=共同】米マイクロソフトの共同創業者で資産家のポール・アレン氏は13日、太平洋戦争でフィリピン中部シブヤン海に沈んだ旧日本軍の戦艦武蔵とみられる船体の潜水調査の様子を、インターネット上で生中継した。武蔵にも設置されていた15.5センチ砲を装備していた副砲塔も船体から抜け落ちて沈んでいる様子が確認された。
日本の軍艦に詳しい呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム、広島県呉市)の戸高一成館長は映像を見て「武蔵であることは百パーセント間違いない」と指摘。「沈没途中に火薬庫が爆発したため、想像以上の壊れ方をしている。ただ深海なのでサンゴなどの付着物がなく(沈んだ船体の)状態は非常にいい」と述べた。
中継では、シブヤン海の洋上に停泊しているアレン氏所有の船から下ろした無人潜水機器で撮影した映像を公開。日本海軍艦の艦首に設置されていた菊の紋章の台座部分や、艦首右舷に巻き上げられた巨大ないかり、主砲の砲塔を設置していた砲座部分の大きな穴も、はっきりと映し出された。
フィリピン政府当局者によると、船体が見つかった場所は、1944年10月24日に米軍機の攻撃を受けて沈没した際に戦闘詳報に記録された場所から、南に約15~35キロ離れているとみられる。
8年前から武蔵の船体探索を始めたというアレン氏は、3月2日に船体を発見。3日から映像や写真を公開していた。