兵庫県尼崎市の連続変死事件で、首謀者とされた角田美代子元被告(当時64、自殺)と同居し、2件の殺人罪などに問われた仲島康司被告(45)の裁判員裁判で、神戸地裁(佐茂剛裁判長)は合計懲役15年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。被告は2つの事件の間に別の罪で有罪判決を受け、規定で併合されないためそれぞれの事件で判決が言い渡された。
判決によると、妻の茉莉子さん(当時26)ら女性2人への殺人・監禁罪に対しては懲役6年(求刑懲役8年)。同居していた橋本次郎さん(当時53)への殺人罪などに対しては懲役9年(求刑懲役12年)。
佐茂裁判長は判決理由で2件の殺人について「過酷な虐待を加え続け、苦痛を与えて人格を踏みにじった末に殺害した」などと指摘。橋本さんの逮捕監禁や殺人では「緊縛などの重要な実行行為を行った」と述べた。
一方で、いずれの事件でも立場は従属的で、茉莉子さんの事件では「被告も物置に監禁されて過酷な虐待を受け、美代子元被告に逆らえば再び虐待を受けるかもしれないという緊張感の中に置かれていた」と指摘。犯行への加担は「元被告の意向に従わざるを得なかったとの事情がある」などと量刑理由を説明した。
判決によると被告は元被告らと共謀し、2008年、尼崎市のマンションのベランダの物置などに茉莉子さんを監禁、虐待して衰弱死させたほか、安藤みつゑさん(同67)を監禁。11年には橋本さんを虐待して殺害し岡山の海に遺体を遺棄した。