米連邦準備理事会(FRB)のはっきりしない金融政策が債券市場を揺るがし続けそうだ。価格変動幅の拡大は、市場が節目を迎える際によくみられる現象だ。年初からこれまでの米債券市場も例外でない。
オーバーナイト(翌日物)借り入れコストであるフェデラルファンド(FF)金利の引き上げ時期をめぐる議論は、最近の数カ月で高まってきた。FRBが、経済回復の明確な兆しを確認できるまで利上げに転じないと決めたことで、雇用統計をはじめとする毎月の経済指標に引き続き注目する必要がある。
記者会見する米FRBのイエレン議長(18日、ワシントン)=ゲッティ共同
債券市場はおおむね、利上げの時期を6月と見込んでいた。だが、今後の動きは、これからの経済指標だけでなく、FRBが最近のドル高の影響をどうみるかによって左右される。春のうちに力強い指標が相次いでも、政策の柔軟性を尊重するFRBの姿勢が顕著になるだけで、債券市場の値幅は大きくなるはずだ。
■経済回復の明確な兆しを確認してから
RBS証券のストラテジスト、ウィリアム・オドネル氏は「経済指標とFRBの判断が米国の利上げ時期を左右する状況は続くだろう」と指摘する。
今年の米債券市場は利回りの振れ幅の大きさが目立つ。10年債の利回りは3月に2.26%まで上昇した後、2%を下回る水準に大きく下がった。1月には1.64%まで低下する局面があった。
第1四半期が終わりに近づき、米債券市場は価格と利回りがめまぐるしく変化するようになった。メリルリンチの指数に基づく短期の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)は、利回りが急上昇した2013年の夏以来の高水準に達している。
CRTキャピタルのストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「第1四半期における値幅の大きな変動は、FRBがゼロ金利政策から経済指標に応じた政策に姿勢を改めたことを示している」と語った。
いつ利上げするのかという明白なシグナルがないため、投資家は先行きの不透明感を払拭できない。ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオンの最高投資責任者(CIO)、クリストファー・サリバン氏は「FRBは経済見通しを改め、インフレとからめてドル相場に注目し、多国籍企業の収益にも関心を示している」と述べた。