京都大学は28日までに、アイヌ民族の遺跡や貝塚に残るヒグマの骨を分析し、昔はサケやシカを食べていたヒグマが過去200年間で急速に草食化したことを突き止めたと発表した。川にダムができてサケが遡上できなくなったり、オオカミが絶滅して獲物のシカを横取りできなくなったりしたことが原因とみている。
北海道大学などとの共同研究成果で、英科学誌(電子版)に掲載された。
骨が含む窒素と硫黄、炭素の同位体の比率を分析し、食べ物を推定した。釧路市など東部では食べ物に占めるサケの比率が1920年以前は19%だったが、96年以降には8%に減った。エゾシカや昆虫も64%から8%に減り、ヤマブドウなどの植物を食べる生活に変わった。札幌市以南でもシカなどを食べる量が減った。
いずれも人間の定住や開発が活発になった1800年ころ以降に変化が出た。研究に参加した京大大学院生の松林順さんは「ヒグマの草食化が進めば、体が小さくなるなどの影響が出る可能性がある」と話した。