天皇、皇后両陛下は8日から1泊2日の日程で、太平洋戦争の激戦地パラオを訪問される。今年は戦後70年の節目に当たり、両陛下は日米の戦没者慰霊碑を訪ね、平和を祈念される。両陛下の慰霊目的の海外訪問は、戦後60年の2005年のサイパン以来2度目。
日本が委任統治していたパラオでは、太平洋戦争中に日本人約1万6千人が犠牲となった。日米が激戦を繰り広げたペリリュー島では日本兵約1万人が戦死、米軍も約1600人が亡くなった。
戦後60年を前に、日本政府は両陛下のパラオやマーシャル諸島、ミクロネシア連邦の3カ国訪問を検討したが、当時は移動や通信手段が不十分だったため見送った。
今回はパラオ側から両陛下に招待があり、政府が改めて調整。両陛下も訪問を強く希望されていたといい、海上保安庁の巡視船を宿泊先とし、移動にヘリコプターを使うなどして実現させる。
両陛下は8日午前、航空機で羽田空港を出発し、同日午後にパラオ国際空港に到着される。大統領夫妻との会見や歓迎式典の後、コロール島での晩さん会などに臨み、マーシャル諸島やミクロネシア連邦の大統領夫妻とも懇談される。
翌9日にヘリコプターでペリリュー島に移動し、日本政府が建てた「西太平洋戦没者の碑」や米国の慰霊碑を訪問し、供花される。ペリリュー島の島民とも交流し、同日夜に帰国される。
両陛下は3月下旬から風邪の症状が続いているが、行事への出席を一部取りやめるなどして体調を整えられている。
両陛下は05年、激戦地だった北マリアナ諸島の米サイパンを訪問。現地の慰霊碑に供花し、追い詰められた日本人が身を投げた「スーサイドクリフ」や「バンザイクリフ」で黙とうされた。