三井不動産は6日、大型商業施設「ららぽーと富士見」(埼玉県富士見市)の詳細を発表した。衣料品店や飲食店など293店が入居し、年間売上高は450億~500億円を見込む。地元の農業協同組合(JA)や商工会と共同イベントを開いたり、周辺住民らの憩いの場となる公園やイベント会場、フットサル場を整備したりするなど、「地域密着」を前面に打ち出して集客につなげる。
同社は6日、施設を報道関係者に公開した。10日に開業する。地上4階建てで、店舗面積は約8万平方メートル。同社の石神裕之・商業施設本部長は「地域に根付いた施設にしていく」と述べ、地産地消や地域活性化に積極的に取り組む考えを示した。
地元のJAいるま野が農産物の直売店を出店するほか、飲食店に地元産野菜を提供する。富士見市や地元農家などとも協力し、周辺農地で野菜の収穫を体験できるイベントを定期的に開催する。
公園(約8700平方メートル)にはベンチや子供向け遊具を設置。地震など大規模災害時には地域の防災拠点としても活用する。このほか、ランニングコース(1周500メートル)やシャワー室などを備えたランニングステーション、食材や飲料を持ち込めるバーベキュー広場も整備。地域の憩いの場として利用してもらう。
全てのテナントが富士見市商工会の会員になり、スタンプラリーなどのイベントを共同開催することも検討する。
同施設と東武東上線の鶴瀬駅や志木駅、JR大宮駅など周辺主要駅を結ぶ路線バスも誘致。マイカー客以外の集客にも力を入れる。
一方、周辺の大型商業施設は改装などで顧客のつなぎ留めを目指す。「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)は大幅改装し、4月24日にオープンする。今秋に予定する改装と合わせ、専門店約710店のうち、6割以上を刷新する。
イオンレイクタウンとららぽーと富士見は30キロメートルほど離れており、主要商圏は異なるが、東京都内やさいたま市などの買い物客の奪い合いが激しくなる可能性がある。