ポーランド戦の予想をするタコのラビオ=2018年6月19日、北海道小平町、株式会社ひとと提供
紙一重の決勝トーナメント進出――。サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本はポーランドに敗れたが、セネガル―コロンビア戦の結果を受け、2大会ぶりの1次リーグ突破を果たした。選手を知る人や現地の日本人サポーターらが、運命の一戦に熱い視線を送った。
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「ラビオの予想がどうなるか……」。28日、タコ漁に出ていた北海道小平(おびら)町の漁師阿部喜三男さん(51)は気が気でなかった。
日本の初戦があった19日、水揚げした中で一番元気だったタコを、町名を逆さに読んで「ラビオ」と名付け、3試合の勝敗を予想。円形のビニールプールにラビオを放し、日本、対戦国、引き分けと書かれた三つのかごのうち、どのかごの一番近くにいるかで占った。小平のタコをPRするのが狙いだったが、2試合目までピタリ的中し、知人は「ラビオ、半端ないな」と驚いた。
ポーランド戦の予想は、日本の敗戦。「予想が外れて、勝ってほしいな」と阿部さん。
今大会、試合は日本時間の深夜から未明にかけて行われるため、宮城県南三陸町のあさひ幼稚園では日本の試合の翌日、録画した映像を約30人の園児で観戦するのが恒例となっている。東日本大震災後、同園には長谷部誠(34)が毎年訪れ、子どもたちと一緒にサッカーをしたり、工作をしたりするなどして、支援を続けている。
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同園の教職員らは28日、園児の帰宅後、「しか組」の教室で長谷部のサインが入った横断幕を貼り付け、翌日の観戦の準備に当たった。遠藤ゆみ子教頭(57)は「きょうは朝からドキドキ。けがをしないで最後まで頑張ってほしい」と話した。
現地サポ、暑すぎて甲冑姿断念
一方、ポーランド戦があるロシア・ボルゴグラードはうだるような暑さに襲われた。気温35度を超えるスタンド2階の最前列で、多田野啓(あきら)さん(42)は手作りのマトリョーシカの着ぐるみ姿でピッチを見守っていた。「この試合のために昨日、日本から来ました。監督も同じ『あきら』。やってくれると信じています」
朝から気温が上がったこの日、早い時間から集まったサポーターたちは開門時間までカフェやショッピングモール内に身を寄せた。
日本サポーターのなかには、着物や甲冑(かっちゅう)、ちょんまげ姿で「日本流」の応援をする人たちも多い。だが、この日は「暑すぎて無理」と恒例のコスチュームを断念する人も。「選手たちも走り切れるだろうか」と心配する声も上がった。
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2戦目から観戦する山崎岳さん(25)は「セネガル戦での同点弾は、人生で一番テンションが上がった。またあれが見たいけど、今日はとにかく負けなければ」と1次リーグ突破へ願いを込めた。
会場周辺には、数は少ないがポーランドサポーターの姿も。アダム・カミンスキさん(42)は試合前から弱気の発言。「日本の圧勝じゃないか? ポーランドも本当は強いんだが、今大会では最低のチーム。その理由がわからないのが問題なんだけど」と話した。(山本亮介、ボルゴグラード=高野遼)