大阪市を５特別区に分割し、大阪府と再編する「大阪都構想」を問う住民投票の前哨戦と位置づけられた府議選・市議選が11日、９日間の選挙戦を終えた。各党の候補者や幹部は冷え込んだ夜の街角で、都構想への賛成や反対などを声をからして最後まで訴えた。

大阪維新の会の橋下徹代表（大阪市長）は午後７時すぎ、大阪・ミナミの高島屋前で「維新が大敗すれば、無駄遣いをなくす大阪都構想が進まない」と声を張り上げた。

選挙戦では都構想を最大の争点とし、反対する野党との対立姿勢を鮮明にした。この日も市が手掛けて破綻した事業などを具体的に挙げ「皆さんが額に汗かいて納めた税金を政治家や役所はでたらめに使ってきた」と強調した。

公明党府本部の小笹正博幹事長は同じ頃、阪急淡路駅前（大阪市東淀川区）で有権者らと握手し「公明を勝たせて」と訴えた。午前には山口那津男代表が住吉区内で府議候補の応援に入った。

公明は昨年末、都構想の住民投票の実施賛成に方針転換。一方で維新の構想案には反対する姿勢が有権者に「分かりにくい」とされて苦戦が伝えられたため、党幹部が相次ぎ来阪して、てこ入れを図った。

自民党府連会長の竹本直一衆院議員は堺市美原区での同市議候補の演説会で都構想に触れ、「経費の節減効果は（年）１億円のみ」「一度市を解体すれば元には戻せない」と一貫して批判。「住民投票で勝つには明日の選挙に勝ち抜かなければ」と声を張り上げた。自民は選挙戦で都構想の対案として、現行の行政区の総合区への格上げを主張。経済成長戦略の必要性も強調した。

民主党の尾立源幸府連代表（参院議員）は午後６時すぎ、大阪府枚方市内で演説。改めて都構想への反対の姿勢を示し、「維新と対峙できるのは民主だ」と強調した。共産党の山下芳生書記局長（参院議員）は大阪市生野区内で演説。都構想は「市の住民サービスの低下につながる」と改めて反対を訴えた。

大阪市中央区の会社員女性（49）は橋下市長の進める塾代助成などを挙げ「改革を進める維新に懸けたい。都構想にも賛成する」と話した。一方、同市港区の男性（83）は「橋下氏ら維新の都構想の進め方は強引すぎる。維新以外の候補に一票を投じる」と語った。