北海道函館市のカメラマン、谷杉アキラさん(47)は、北海道最古の写真館だった建物を借り受け、予約があったときだけ開店させる形で写真館を復活させた。築100年を超える洋風建築で撮影する記念写真に人気が集まり、全国から多くの観光客が訪れている。
建物は1907年築の「小林写真館」として62年まで営業していた。「歴史あるこの場所を写真館として残したい」との思いから、谷杉さんは函館市の公募に手を挙げた。市の助成金を受け、空き家になっていた建物を2009年7月に創建当時の外観に復元。市内で70年以上続く写真館の3代目としての本業の合間に、妻の明日香さん(32)とともに旧小林写真館でも撮影を続ける。
利用客の8割は婚礼写真。谷杉さんは夫婦で買い付けた明治期の着物や年代物のウエディングドレスを貸し出し、レトロな雰囲気を醸し出す。谷杉さんは「昔の小林写真館のように、函館市民が気軽に記念写真を撮りに来てもらえる場所にしたい」と力を込めた。〔共同〕