【ソウル=共同】韓国・ソウルの中心部で18日、昨年4月の旅客船セウォル号沈没事故の犠牲者遺族が警察に連行されたのをきっかけに、政府への抗議集会参加者1万人以上が大統領府へ向けデモ行進し、機動隊と激しく衝突した。
セウォル号沈没事故をめぐる抗議集会で機動隊と衝突し、放水を浴びるデモ参加者(18日夜、ソウル)=共同
機動隊は放水銃や催涙スプレーを使用したが、デモ隊は機動隊を押しのけ、大統領府に向かった。夜になって大統領府から数百メートル離れた政府ソウル庁舎前で膠着状態になり、デモ隊の一部はバリケード代わりに止められたバスを引き倒そうとした。午後11時前(日本時間同)に遺族代表が、来週も大統領府を目指すとしながらもデモの終了を宣言、参加者らは帰宅を始めた。
衝突の規模は、2008年5月から同年夏まで、米国産牛肉の輸入規制緩和に反対して連日続いたろうそく集会に匹敵するものになった。韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領が南米を歴訪中のほか、大統領職代行を務める李完九(イ・ワング)首相も違法政治献金疑惑の拡大で国民の信頼を失っており、朴政権の不安定さが際立つことになった。
18日午後、ソウル中心部の市庁前広場で政府への抗議集会が開かれた。その直前、警察が近くの観光名所、景福宮で座り込みをしていた遺族十数人を連行。集会参加者は集会を打ち切ってデモ行進を始めた。
304人が犠牲になった事故では、9人の遺体が依然見つかっていない。遺族側は遺体捜索と原因究明のための船体引き揚げを求めているが、政府が確約していないとして反発。また政府が官民合同の事故調査委員会の統括責任者に、調査対象の海洋水産省の幹部を配置する方針を打ち出したことにも方針撤回を要求している。
事故から1年を迎えた16日夜にも抗議集会の参加者と機動隊が衝突。遺族組織によれば、犠牲になった高校生の母が肋骨を折る重傷を負った。