全国農業協同組合連合会(全農)は21日、欧州で初となる直営の和食レストランを開くと発表した。欧州連合(EU)が2014年6月から日本産の牛肉輸入を解禁したため、全農は和牛の海外販売を強化する。日本酒や焼酎なども積極的に売り込み、国内の生産者が外国市場に進出する足がかりとする。
欧州1号店は英ロンドンで今年秋の開業を予定している。高級なホテルや百貨店が集まるメイフェア地区で、和食のイメージを高める狙い。経済的に余裕のある中間層から富裕層の来客を見込む。全農の子会社であるJA全農インターナショナル(東京・千代田)が全額出資し、初期投資は数億円を想定している。
レストランで目玉となる和牛は、「おいしく食べられる調理方法を広めることも目的」(JA全農インターナショナルの川崎浩之社長)という。欧米では赤身肉を食べる習慣が一般的で、日本のように肉の間の脂肪分を「サシ」と呼んで味わう文化は珍しい。大量にステーキとして出すのは向かないため、味付けなど、おいしい食べ方を広める。京都の老舗料亭「菊乃井」の店主、村田吉弘氏にも協力してもらう。
全農は12年から香港や米ロサンゼルスにも直営レストランを展開し、今回で海外は4店目となる。今後は米ニューヨークや、中東のドバイなどへの出店を検討する。