神戸市の民間病院「神戸国際フロンティアメディカルセンター(KIFMEC)」で生体肝移植手術を受けた4人が術後1カ月以内に死亡した問題で、がんの手術を受けて数日後の子供に移植したり、臓器提供者(ドナー)が脂肪肝だったりしたケースがあったことが22日、センターへの取材で分かった。
いずれも死亡したケースだった。移植医療の関係者は「どちらも生体肝移植手術の適応外なのは明らかだ」と指摘している。全国の肝臓移植医でつくる日本肝移植研究会も把握。これまでの調査で、スタッフが少ないなど体制が不十分なことも判明したとして、同研究会は数日中に手術の中止を求める報告書をセンターと厚生労働省に提出する方針。
京都大名誉教授で同センターの田中紘一院長(73)は22日、「脂肪肝のドナーは、海外で移植のための提供を断られて来日した。食事療法で20キロ近く体重を落とし、肝機能に問題ないという結果が出たので手術をした」と説明した。
また、センターによると、死亡した4人のうち子供1人は、進行した胆道がんだった。がんの切除手術後に肝不全になったため、数日後に生体肝移植をした。田中院長は「リスクが高かったのは事実だが、移植をしないと確実に死亡するケース。家族も希望を託してくれていた」とした。〔共同〕