【ソウル=小倉健太郎】韓国サムスン電子が29日発表した2015年1~3月期連結決算の確報値は営業利益が5兆9800億ウォン(約6600億円)と前年同期比30%減った。主力のスマートフォン(スマホ)事業の減速が続いており部門利益が57%減ったのが大きい。ユーロなどに対するウォン高も全体で8000億ウォンの減益要因となった。
売上高は12%減の47兆1200億ウォン。売上高営業利益率は12.7%だった。営業利益は6四半期連続で前年実績を下回ったが、利益水準、利益率とも製造業としてはなお高い水準を維持している。
スマホなどIT(情報技術)機器部門の営業利益は2兆7400億ウォンだった。高級機では米アップル、中低価格機では中国メーカーなどの攻勢を受けて収益が悪化した。
ただ、14年10~12月期に比べると部門利益は40%増えた。前期比での改善は2四半期連続。販促関連費用を減らした影響が大きいとはいえ、一方向に落ち込んでいた状況からは抜け出しつつある。連結営業利益も前期比では13%増えた。
連結業績を下支えするのが半導体部門だ。営業利益は2兆9300億ウォンと前年同期比50%増えた。スマホのメモリー容量拡大やデータセンター需要の増加でメモリー半導体が好調。単価も10~12月期よりはやや下落したがなお高水準を維持している。低迷していたシステムLSI(大規模集積回路)も4月発売の自社製スマホ「ギャラクシーS6」に全面採用したことなどから収益が改善した。
テレビや冷蔵庫など家電部門は1400億ウォンの赤字(前年同期は1900億ウォンの黒字)だった。ユーロやルーブルの下落に対応して現地販売価格を引き上げたこともあり販売量が減少。為替変動により採算も悪化した。ディスプレー部門は800億ウォンの赤字から5200億ウォンの黒字に転換した。