【ニューヨーク=高橋里奈】ウクライナのクリムキン外相は29日、国連本部の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、ロシアのクリミア半島編入について「(核不拡散の)NPT体制の侵害だ」と強く非難した。ロシアがクリミアを「核兵器開発の準備を進める軍事基地にしている」と指摘したうえで「NPTに基づく国際的な核の安全保障へのとてつもない挑戦だ」と訴えた。
クリムキン外相は約20分の演説のほとんどをロシア批判に割いた。ウクライナの核兵器放棄と引き換えに同国の領土保全を米英ロが約束する1994年の「ブダペスト合意」に「ロシアが違反している」と強調した。ウクライナの主権を侵害していると繰り返した。
また、親ロ派が支配する「東部ドネツクやルガンスクの原子力施設の安全に深刻な懸念がある」と述べた。その後に演説したノルウェー代表らもロシア批判を続けた。ケリー米国務長官も開幕日の27日の演説でロシアを非難し、ウクライナ問題がNPT会議の火種となっている。