イオンは10日、埼玉県羽生市でコメの生産を開始した。意欲のある生産者に農地を貸す政府の「農地バンク」を活用。耕作放棄地を含む18ヘクタールの水田で順次、田植えの作業を始める。９月以降に収穫し、埼玉県内のスーパーなどで販売する予定だ。後継ぎ不足に悩む農家に代わり、流通大手がコメを含めた農業の担い手になる事例となる。

子会社の農業法人のイオンアグリ創造（千葉市）が羽生市で18ヘクタールの水田を借り、コシヒカリや埼玉県のブランド米「彩のかがやき」などの栽培を始めた。当初は11ヘクタールの予定だったが、後継ぎがいない水田が増え、18ヘクタールに拡大した。同市の河田晃明市長は「担い手不足とコメ価格の下落で大変だが、遊休農地の解消や若い人が修業して独立する場としても期待している」と話した。

初年度で90トン程度の収穫を目指す。イオンアグリ創造は2010年から同市で、タマネギや白菜などの野菜を生産しており、パートを含めて23人で畑作と稲作を一体的に運営する。