川崎市川崎区の多摩川河川敷で2月、中学1年だった上村遼太君(当時13)が殺害された事件で、横浜家裁は12日、リーダー格の少年(18)を殺人容疑で、事件当時17歳だった少年(18)ともう1人の少年(17)を傷害致死容疑でそれぞれ検察官送致(逆送)した。
小池喜彦裁判長は「上村君の首をカッターナイフで多数回切り付けるなどした態様は極めて残忍かつ悪質」として刑事処分が相当と判断した。
家裁はリーダー格の少年について、横浜市で1月17日、上村君の顔を殴るなどして約2週間の皮下出血を負わせたとして傷害容疑でも逆送した。この事件で上村君の友人らが少年に謝罪させたことが分かっており、小池裁判長は「殺人の非行事実の伏線にもなった」と認定した。
地検は少年法に基づいて10日以内に起訴するかどうかを判断する。3人は起訴されれば、成人と同じ手続きとなり、公開の法廷で裁判員裁判を受ける可能性が高い。
3人の役割では、リーダー格の少年は「終始主導的に関わった」と指摘。当時17歳だった少年は凶器のカッターナイフを提供、もう1人の少年は他の2人が一緒にいることを隠して上村君を呼び出した、とした。
複数の関係者によると、少年審判でリーダー格の少年は殺人容疑を認め、傷害致死容疑の2人は刑事裁判の無罪に当たる「非行事実なし」を主張した。
当時17歳の少年は上村君を切り付けたこと自体を否認。もう1人の少年はリーダー格に脅され「やらないと(自分も)やられる」と考え、やむを得なかったとし、刑の減軽や免除を定めた刑法の「緊急避難」の適用を求めた。〔共同〕