農林水産省は19日、地域の農地を集約して大規模経営を目指す「農地バンク(農地中間管理機構)」の利用実績が初年度の2014年度は約3万1千ヘクタールだったと公表した。年間目標の約2割にとどまった。担い手不足が深刻化している農地の集約が進み始めたものの、依然として課題が多いことが浮き彫りになった。
農地バンクは都道府県ごとに設立した。点在する耕作放棄地などの所有者から農地を借り入れ、やる気のある農業法人などの担い手に貸し出す仕組みだ。
都道府県別に年間目標面積を設定しており、初年度の目標は合計約14万9千ヘクタールだった。富山県や福井県などでは比較的実績が上がったが、多くの県では利用実績がほとんどなかった。
林芳正農相は19日の閣議後の記者会見で、目標を大幅に下回ったものの、以前の枠組みに比べて実績が約3倍に増えたことを理由に「一定の成績は残すことができた」と評価した。そのうえで取り組みを加速させるために「適切な改善策を講じていきたい」と述べ、農地集約に積極的に取り組む都道府県に対し、予算面などで配慮する対策を検討する方針を明らかにした。