【リガ=田中孝幸】リガでのEUと旧ソ連6カ国の首脳会議に参加したドイツのメルケル首相は22日、ギリシャへの金融支援再開に向け「(EU側とギリシャの合意達成までに)まだなすべきことが多い」と述べた。ギリシャに財政再建に向けた一段の取り組みを促した格好だ。一方、ギリシャのチプラス首相は「過去の(緊縮策の)過ちを繰り返さず、解決策で近く合意できると楽観している」と語った。
EUのユンケル欧州委員長は同日、チプラス氏と会談した。同国のデフォルト(債務不履行)を回避するための方策について話し合ったが、進展はなかったもようだ。
メルケル氏は21日夜、フランスのオランド大統領とともにチプラス氏とギリシャの債務問題を協議した。独仏首脳はチプラス氏に「実行可能で長期的な解決」に向けて後押しする意向を伝えたが、同氏はEU側が支援条件とする年金改革などに応じない姿勢を崩さなかった。
ギリシャ政府は資金が底をつきつつあり、6月にも突発的なデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が広がっている。ギリシャが財政破綻すれば欧州景気に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
EUや国際通貨基金(IMF)などはギリシャに緊縮策を受け入れるよう働きかけを強めている。しかし、ギリシャ側は妥協せずに相手の譲歩を待つ瀬戸際戦術を変えていないようにみえる。