【ニューヨーク=西邨紘子】米医薬・日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、傘下の医薬品会社ヤンセン・ファーマシューティカルから2019年までに少なくとも10種類の新薬の承認申請を目指す方針を明らかにした。いずれもピークの売上高が年間10億ドル規模に達する可能性がある大型薬という。
J&Jが20日、投資家向けに開いた事業説明会で発表した。ドル高が逆風となって日用品などの販売が伸び悩んでおり、製薬事業の強化で業績拡大を目指す。
承認申請を目指す新薬候補には、血液がんの一種である多発性骨髄腫治療薬のダラツムマブ、関節リウマチ治療薬シルクマブ、かんせん治療薬グセルクマブなどを含む。
実用化が最も早いとみられるのがダラツムマブだ。ヤンセンが12年にデンマークのバイオ企業から開発・商品化の権利を取得した。米食品医薬品局(FDA)から優先的に承認審査を受けられる「画期的治療薬」の指定を受けている。
ヤンセンは既に販売している医薬品などでも、19年までに40件以上の適応症拡大を申請する。実用済みの医薬品でも使える病気の種類が増えれば市場規模は広がる。
J&Jの主要3事業のうち足元では日用品や医療機器が伸び悩み、好調な製薬が業績を支えている。14年12月通期では全体の売上高は前の期比4%増の743億ドル、そのうち製薬事業は同約15%増の約323億ドルだった。09年以降に投入した14種類の新薬のうち7種類は、15年に売上高が10億ドルを超える見通しという。