【ロンドン=黄田和宏】3日の欧州債券市場で、指標となるドイツの10年物国債利回りが大幅に上昇(価格は下落)し、一時は0.8%台後半と昨年10月以来の高い水準をつけた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は同日、量的緩和の継続を表明したが、市場ではECBが今年のユーロ圏の消費者物価上昇率の見通しを上方修正したことに注目が集まり、デフレ懸念が後退したとみる売りが優勢になった。
2日に発表された5月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)が6カ月ぶりに上昇し、ドイツ国債の利回りは上昇基調にあったが、ECBが物価見通しを引き上げたことで一段と売りが加速した。この2日間で利回りが0.3%以上上昇したことになる。
インフレ見通しの改善を受けて、外国為替市場ではユーロを買う動きが広がった。対ドルでは、一時1ユーロ=1.12ドル台に上昇し、約2週間ぶりのユーロ高・ドル安水準をつけた。