【監利、上海=共同】中国湖北省荊州市監利県の長江(揚子江)で起きた456人乗りの客船「東方之星」の転覆で、捜索当局は5日午前9時(日本時間同10時)すぎ、クレーンを使って水中で船体を180度回転させ立て直した。国営中央テレビが伝えた。
船体の大部分が水面下にあり、今後船体を引き揚げ、船内の捜索を行う予定。
行方不明者345人の生存は絶望視され、中国最悪規模の船舶事故になることは確実。千人を超える家族らが現場の監利県に駆け付け、作業を見守った。
情報不足や事故後の対応への不満も強い。政府批判が高まることを恐れる当局は賠償に向けた手続きにも着手した。
中央テレビによると、クレーン作業は4日夜から徹夜で行われ、5日午前7時(日本時間同8時)すぎから本格的な船体引き起こしを開始。客室部が白く、下部が青い船体の一部が水面上に現れた。作業は客船のバランスなどを考慮しながら進められた。
当局によると、5日までに97人の死亡が確認された。生存者は2日までに救助された14人のまま。
新華社電によると、4日午後時点で、乗客の家族ら1200人以上が監利県に到着。当局はDNA鑑定の専門家や、100人近い心理カウンセラーも集めた。
客船ツアーを組んだ旅行会社がある上海市の旅行当局や、多くの乗客の居住地である江蘇省の当局は保険を適用した賠償に関する業務を開始した。
救助後に拘束された船長や客船が所属する汽船会社関係者の責任追及も本格化するとみられる。