【サンパウロ=宮本英威】国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件を巡り、南米地域の捜査機関が疑惑解明に乗り出した。ベネズエラではサッカー連盟に家宅捜索が入り、ブラジルでは連盟の元会長が捜査の対象となっている。各国の連盟幹部に対しては辞任を求める声も出ており、11日に開幕する南米選手権(コパ・アメリカ)を目前に動揺が広がっている。
ベネズエラ検察は5日、首都カラカスにある同国サッカー連盟を家宅捜索したと発表した。スイス当局によって先月27日に逮捕されたエスキベル会長の銀行口座を凍結し、保有資産売却も禁じた。アルゼンチンでは贈賄容疑でブエノスアイレスのイベント会社役員が捜査対象になっている。
「サッカー王国」のブラジルでは、同国サッカー連盟のテイシェイラ元会長が、資金洗浄や脱税の疑いで捜査されている。地元メディアによると、会長在任中の2009~12年にかけて、4億6千万レアル(約180億円)超の資金を無申告の外国の口座に振り込んだ疑いがある。
ルセフ大統領は「すべてについて捜査することが非常に重要だ」と述べており、同国で開催された14年のワールドカップ(W杯)も調査が必要だとの認識を示す。地元有力紙エスタド・ジ・サンパウロは4日、ブラジル大会についてもスポンサー活動を巡って米国の司法当局が捜査を進めるとの見方を伝えた。
ブラジル国内では汚職疑惑の解明を求める声が強まっている。元代表のロナウド氏は、逮捕されたマリン前会長とデルネロ会長が「親密な関係にあった。辞任すべきだ」と指摘した。同じく元代表のロマーリオ上院議員は「サッカー界を浄化する」と徹底究明を呼びかける考えだ。