【ニューヨーク=共同】米南部サウスカロライナ州チャールストンにある黒人教会の銃乱射事件で、聖書勉強会に加わっていた黒人9人を射殺した容疑で逮捕された白人のディラン・ルーフ容疑者(21)の審理が19日、地元の裁判所で開かれ、多くの遺族が罪を許すべきだと陳述した。
敬虔(けいけん)なキリスト教徒として、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の連鎖を断つには罪を許す以外にないとの信念があるとみられる。拘置施設にいる容疑者の様子はビデオ映像で法廷に流れたが、遺族の陳述を聞いている間も無表情だった。
犠牲者の中で最も若かった男性のティワンザ・サンダースさん(26)の母フェリシアさんは「私の英雄を失い、これまでのようには生きられない。しかし神はあなたに慈悲を与える」と語った。フェリシアさんも現場にいたが、死んだふりをして難を逃れた。
女性のミドルトンドクターさん(49)の遺族代表は「彼女は愛を築く家族でありたいと言っていた。憎悪はいけない。許さねばならない」と訴えた。
17日の事件では女性6人、男性3人が死亡し、最年長は87歳だった。現場の教会などでは19日、付近の住民が多数集まり、犠牲者を追悼した。一方、ヘイリー州知事はテレビ番組で「死刑を望む。最悪の憎悪(犯罪)だ」と主張した。