日銀は29日、黒田東彦総裁が28日に国際決済銀行(BIS)の年次総会のパネルディスカッションで講演した内容を公表した。黒田総裁は講演で「2%の物価安定の目標の実現に向けた我々のコミットメントは決して揺るがない」と強調した。目標達成時期については「2016年度前半には2%程度に達する可能性が高い」と繰り返す一方、物価上昇率について「目標には遠く及んでいない」と指摘。「(2%達成への)シナリオに対するリスクは看過できない」と述べた。世界経済に関しては「地政学的要因を含め、不確実性が非常に高い」とした。
「非伝統的金融政策の波及経路」と題した講演で、黒田総裁は異次元緩和導入以降に「完全失業率は0.8ポイント低下し、消費者物価指数の前年比は1ポイントほど上昇した」と「非伝統的政策によって需要を刺激することに成功している」と指摘した。そのうえで13年1月の政府との共同声明で「政府は公的債務の長期的な持続可能性を確保することにコミットすることが明記されている」として、異次元緩和が「財政の拡大を容易にするといった意図は、もとより全くない」と強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕