ソニー(6758)は30日、公募増資と新株予約権付社債(転換社債=CB)によって、手取り概算額で最大約4400億円を7月中に調達すると発表した。4400億円のうち、約3200億円を公募増資で、約1200億円をCBによって調達する。ソニーは成長分野であり経営再建柱と位置づけるデバイス部門に調達資金を投入していく考えだ。
公募増資は8720万株を予定している。加えて480万株を上限に、需要動向に応じてオーバーアロットメントによる追加売り出しも実施する。発行価額は7月13~15日の間に決定する。
CBは22年9月末日に償還予定で、発行額は1200億円。利率はゼロとし、発行価額は額面100円に対し102.5円。株価が転換価格の1.3倍以上で一定期間推移すると早期償還できるコールオプションをつけた。
調達資金は主としてデバイス事業のスマートフォン(スマホ)向け画像センサーの生産能力増強及び研究開発費に充てる。同社は16年3月期中に画像センサー関連事業の設備増強に2100億円を投じる。継続して投資を続けることで同事業での収益の拡大を目指す。このほかCBで調達した資金の一部を負債の返済などに充てる。
ソニーが公募増資を行うのは1989年7月に2316億円を調達して以来26年ぶり。同社は2月に発表した15年度から3カ年の中期経営計画に自己資本利益率(ROE)10%以上の達成を目指すことを盛り込んでいる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕