鹿児島県屋久島町の口永良部島・新岳の噴火で、全島避難が続く同島に住民の畜産業者らが同町の許可を得ずに上陸し、家畜を島外に連れ出していたことが2日、分かった。口永良部島は全域に避難指示が出ているが、法的強制力のある警戒区域は設定されていない。同町は「自己判断の帰島は許可していない」と住民側に呼びかけている。
畜産業の男性(80)と家族は6月に5回、漁船で上陸し、豚や鶏を屋久島内の牧場に移した。上陸前にその都度、町長らに許可を求めたが、認められなかったという。男性は「エサを与えないと餓死してしまうため、やむを得なかった」と話している。
災害対策基本法に基づく避難指示は、市町村長が災害の恐れがある地域の住民を対象に発令するが罰則はない。対象地域への立ち入りも制限する場合は警戒区域を設定でき、違反者には罰金や拘留の規定がある。