国土交通省が16日発表した2015年7月1日時点の基準地価は、三大都市圏の商業地が3年連続で上昇した。上げ幅は2.3%で前年(1.7%)から拡大し、リーマン・ショックがあった08年(3.3%)以来の大きさ。景気の緩やかな回復基調と、金融緩和マネーが押し上げた。ただ住宅地は0.4%上昇で、上げ幅は前年(0.5%)よりやや縮まった。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏で地価が上がった調査地点の割合は、商業地が69.9%(前年68.0%)に拡大した。一方、住宅地は44.7%(同46.9%)に低下した。この結果、全用途では51.0%(同51.5%)とやや低下した。
三大都市圏の商業地は再開発や訪日客の増加を受けて地価が上昇した。特に名古屋駅付近は将来のリニア中央新幹線の開業を見据えた土地取引もあり、大きく上昇した。一方で住宅地は、東京圏で都心の分譲マンションが投資や節税対策の需要も伴い好調だが、郊外では実需の鈍りが出ている。持ち家も含め、昨年4月の消費増税の影響も尾を引いた。
全国の全用途では0.9%の下落となった。三大都市圏の商業地がけん引してマイナス幅は6年連続で縮小したが、下落は24年連続となった。
地方圏が1.5%下落したことが響いた。北陸新幹線の開業効果により金沢市で金沢駅周辺の上昇が目立つなど中核都市では明るい動きもみられたが、地方全体では人口減に押され下落圧力が根強く残っている。